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ラッタッタ論 考察

中央競馬ファンなら一度は聞いた事があるCM通称「ラッタッタ」。木村カエラさんの軽快な歌にノッて20歳になった若いグループが、それぞれの楽しみ方や簡単な知識を学びながら競馬を楽しむというアレだ。今までは、大体二年スパンでCMコンセプトや俳優を変えてCMを打ち出していたのだが、今回で四年目?に突入。これは異例な事だ。

そのラッタッタが、Twitter界隈とかで物議を醸している。正確に言うと、嫌悪する人は一発目が流れた時から「あんなバカにしたCM流すな」的な意見がずーっと流れており、今、降って湧いたような意見ではない。

パドック近くで騒いだり大声出したり「ここは遊園地じゃない。初見の若い連中だからあれはラッタッタ勢だ。あんなCMを流すのが良くない」と言ったところだろうか。

確かに、JRA CMは「最後の10完歩」に代表される素晴らしいCMがあった。高倉健さんのCMもカッコ良かった。馬と人との絆を表現するCMはグッとくるものもあった。

そんな一部競馬コアファンから轟々の非難を浴びているラッタッタ。

競馬歴35年の私もその非難の気持ちは分からなくはない。

だけど僕は「ラッタッタCM」は必然であり、ブレないJRAはさすがと感じている。どちらかと言うと「ラッタッタ擁護派」である。

それはこの「ラッタッタ」が今の若者を取り込むためという安易な考えではなく「20年後」を見据えての施策であると信じているから。

20年後」これは企業や産業が事業を続けていく上での重要なキーワードだ。

私はここ10年、ばんえい教室やばんえい東京イベント、ホッカイドウ競馬さんなどと仕事をして、ファンや生産者さん、そして運営側トップの方と色々お話をする機会を得ている。なかでもびっくりするような言葉を聞いた事がある。これは私の競馬に対する仕事の考えに大きく影響を与えた。

一度、帯広市で帯広市民に対してばんえい教室を行った時に聞いた衝撃の言葉だ。

「帯広競馬場を刑務所だと思っていた」

あー、なるほど。道営時代は中が見えないようにコンクリの壁で、壁の上部は有刺鉄線だったかもしれない(30年前の記憶だから間違っていたらすみません)。その子どもの頃の記憶は、帯広競馬場を遠い存在にするのに十分な条件だ。当時の帯広市民は「ばんえい競馬が帯広競馬場で行われている」、それどころか「ばんえい競馬自体を知らない」人が結構いた。帯広市主催でバンバン地元TVCMが流れていてもだ。興味がない人は情報を知らずにスルーしている。そのほか『子供の頃、お母さんに「あんなとこ行っちゃダメよ」とギュッと手を握られたことがあります(30代・女性)』などなど。小さい時に怖いところだと教わりそれを信じて大人になる。そして、そのお子様にも同じように教える。これが現実に起きていたことだ。

数年前仕事で訪れた門別競馬場で、日高の現状そしてこれからの競馬の在り方をK室長(当時)とお話をしていた時、K室長がおっしゃっていたことは「地元の子供達に馬産地の仕事を知ってもらうことが何よりも大事」という事だった。地元の子供達に「馬産地日高に誇りを持ってもらいたい」それがこれからの日高、いや北海道を支えていく人材が生まれるんだ、と。

そう、ばんえい帯広でも馬文化支える会が主催となって服部調教師がリッキーを連れて小学校に訪問する出張授業。皆さんこの重要性を分かっていて既に実行している。素晴らしい事だ。JRAさんは「BOKUJOB」と称して牧場で働いてくれる若い人を懸命に探している。皆さん危機感を抱いて直面している問題に立ち向かっているのだ。

2019年に流れてきた衝撃のニュース、、分かってはいたけど「2019年の出生数が90万人割れ」という数字が流れてきた時には現実を突きつけられた気分だった。

20年後、馬券を買える身分になり、馬券に参戦出来る資格を持った新しい若者が全国で90万人以下しかいない。

これからのお母さんやお父さんになる人が、競馬産業というものに嫌悪感を抱いて大人になれば、当然産業としての競馬が成り立たなくなるのは自明の理だ。

だからこその「ラッタッタ」なんだろうと私は思う。

産業の中心にある企業は、その産業を100年続くように考えなければいけない。

これは経営に携わるものの使命なのだ。

 

ラッタッタ~♫ ラッタッタ~♪

そうだよね?その信念です……よね

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